このページでは、ウォータージェット工法の安全性と危険性について、両面から紹介しています。どのような特徴があり、トラブルや事故が起きるとしたらどのようなケースが多いのかなどを把握しておくことで、活用方法なども見えてくることでしょう。
ウォータージェット工法は、極めて高い圧力をかけた水を噴射することで素材を切断・研磨・加工していく工法です。火気を全く使わないウォータージェット工法では、作業時の引火の可能性などはゼロ。環境にも優しい工法として、注目を集めています。
火を使わないといった安全性がある反面、知らないと大きな事故につながりかねない危険性もあります。ウォータージェット工法で噴出する超高圧水は、人体を貫通する圧力の12倍もの圧がかかっています。金属を加工するのに使うわけですから、その威力は推して知るべし、といったところでしょう。これだけ高圧の水に人が触れてしまえば、大惨事を巻き起こしてしまいます。工場で刃物などを扱うときと同様、ウォータージェット工法で作業を行う際には、安全面に関しては徹底的に考えておくべきですし、企業として安全対策についてもしっかりと指針を用意しておくべきでしょう。
ウォータージェット工法における事故の事例を紹介します。どのような事故が起きているかを知ることで、そこに対する対策を練っていくことにつなげていってください。
ウォータージェット工法で使用するツールには、超高圧水の噴出を制御していくトリガーがついています。トリガーは操作することで水の噴出をコントロールする、安全装置のようなものです。ただ、トリガーでの操作で横着しようとして針金などで固定してしまった結果、作業者がつまずくなどして体勢を崩した際に超高圧水の噴出を止めることができないまま、自らの体に超高圧水を噴出してしまった、という痛ましい事故がありました。安全装置があるからといって、作業を安心してできるというわけではありません。安全装置に関しては、正しく使うように心掛けてください。
ウォータージェット工法では、専用の機材を用います。もちろん、使用していく中で劣化もしていきますし、何かのタイミングで傷がついてしまうことなどもあり得るでしょう。たとえば、超高圧水を噴出するホースが損傷したまま機材を稼働させて施工を始めたことで、ホースが破損して周囲の人やものに甚大な被害を及ぼしてしまう、ということもあります。こうした事故を防ぐためには、作業前に機材が正常な状態にあるか、きちんとチェックをするようにしてください。また、機材の破損を招くような扱い方もせず、使用時には、定められた施工手順をしっかりと守るようにしてください。
ウォータージェット工法による施工を進めていると、切断・研磨・加工をした素材の断片などが発生します。また、作業も一箇所に留まって行っているわけではなく、移動をしながら作業を進めていくため、足元の状況などには注意しなければなりません。そして、ウォータージェット工法の場合、飛び散る水しぶきによって視界が悪くなります。そうしたところで周りに注意をせずに作業をした結果、つまずいたり足を踏み外したりして、大きな事故を招く恐れがあります。そのようなことがないよう、作業時には安全な施工環境を確保すると共に、周囲の状況にはしっかりと目を配り、注意しながら進めていくようにしてください。
ウォータージェット工法においては、通常の安全対策だけでなく、ウォータージェット工法特有の危険事項に対する対策が必要となります。事故を防ぐために、これらはしっかりとスタッフに周知徹底する必要があります。
ウォータージェット工法を実施するにあたり、施工前の現地調査の徹底は必要不可欠なものです。どんな環境で機材を使用するのか、その際に考えられる問題が何かなどは、事前にしっかりと洗い出した上で、対策を練っていく必要があります。
ウォータージェット工法は前述の通り、やり方を誤れば非常に危険を伴う工法となっています。ただ、中にはそれを知らない人たちもいることでしょう。現場で作業を行う場合には、ウォータージェット工法について、どんな危険があるかを、直接作業に関わらない人たちに対してもしっかりと周知徹底、注意喚起する必要があります。
細かく声をかけていくことはもちろん、ポップを作るなどして視覚的に注意を促していくことも必要でしょう。また、立ち入り禁止区域を設けるなどして、部外者が機材に近づかないようにすることも必要かもしれません。
超高圧水が人体に当たれば、命の危険すらあります。悲しい事故を起こさないためにも、しっかりと対応するようにしてください。
超高圧水を噴出する機材に関しても、定期的な点検・メンテナンスを行い、正常に稼働させていけるようにしていかなければいけません。特に、ウォータージェット工法のメインとなる、超高圧水を発生させるためのポンプなどについては、およそ500時間の稼働ごとにメーカーによる点検を実施していくことが推奨されています。その他、ノズルなど、細かい部分に関しても、細かくチェックしていくようにしましょう。
そして何より大切になるのが、作業員への安全教育となります。いかに注意喚起をしようと、作業員個々人がしっかりと危険性を意識しなければ、いずれ事故は起きてしまうでしょう。機材の使い方はもちろん、事故のリスク、事故が起きたときはどんなことになってしまうのかなどを、写真などを使って分かりやすく伝え、個々人の意識を高めていくようにしましょう。
ウォータージェット工法は、メリットの大きさと同様、危険性も高い作業となります。もし施工を行うのであれば、さまざまな準備が必要になるでしょう。それが難しければ、専門業者に依頼をし、マネジメントを任せるのも一つの方法です。ノウハウを積み重ねているので、より確実、安全に作業を遂行してくれるでしょう。
※2021年11月調査時点で公式サイトに掲載している施工事例件数・年数を調査しました。
※久野製作所:掲載している業者のうち、はつり・剥離(塗膜除去)・削孔といった土木・建築分野の施工事例掲載数が最も多い会社として選出。
※米山製作所:掲載している業者のうち、ウォータージェット工法専門の切断加工受諾会社で施工事例の多い会社として選出。
※日進機工:掲載している業者のうち、プラントメンテナンスをメイン事業に挙げており、かつ経営年数の長い会社として選出。